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AWS

AWS ソリューションアーキテクト - アソシエイト(SAA-C03)
問題ID : 30640
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ある会社は、EC2インスタンスで稼働する勤怠管理アプリケーションを構築した。同社は既存のAWS Direct Connect回線を利用している。勤怠管理アプリケーションは、毎月1か月分の勤怠実績を集計し、全社員分の勤怠データを作成する。作成された勤怠データは暗号化して社員に配布する。データは1件あたり平均10MBで、配布する勤怠データの月合計は約500GB以上になる。
データ転送コストを削減するために、もっとも適切なソリューションはどれか。

正解

勤怠管理アプリケーションからDirect Connectを経由して、オンプレミスのファイルサーバーへ勤怠データをアップロードする。社員はファイルサーバーからダウンロードする

解説

AWS Direct Connect(DX)はオンプレミスなどのユーザー環境からAWSへ、専用回線を使ってセキュアに接続するサービスです。Direct Connectは、Direct ConnectロケーションのDirect ConnectエンドポイントからAWSネットワークへの接続を保証しています。


AWS Direct Connectの利用料金には2つの要素があります。1つ目は「ポート時間」で、Direct Connectロケーション内で契約しているネットワーク機器の利用時間に対して料金が発生します。Direct Connectを契約している間はデータ転送有無にかかわらず常に一定の料金がかかります。2つ目は「データ転送アウト」で、AWS内からDirect Connect経由でAWS外へ送信されるネットワークトラフィック量に対して料金が発生します。Direct Connectのデータ転送アウトで発生する料金は、インターネットを経由したデータ転送料金よりも安価に設定されています。
設問の場合、すでにDirect Connectを契約しているので、インターネットよりDirect Connectを利用した方が転送コストを削減できます。

したがって正解は
・勤怠管理アプリケーションからDirect Connectを経由して、オンプレミスのファイルサーバーへ勤怠データをアップロードする。社員はファイルサーバーからダウンロードする
です。

[AWSの主なデータ転送料金]


その他の選択肢については、いずれもインターネットを利用しています。すでにDirect Connectを契約している場合はインターネットよりDirect Connectを利用した方が転送コストを削減できるので、誤りです。

参考

【AWSへのセキュアな接続】
オンプレミスなどのユーザー環境からAWSへ接続する場合、通常はインターネット回線を経由します。しかしインターネット回線は不特定多数の利用者と回線を共用するため、通信内容の傍受やデータの改ざんなどのリスクがあります。このようなリスクを軽減し、AWSへセキュアに通信できるサービスが「AWS Direct Connect」と「AWS VPN」です。

【AWS Direct Connect】
AWS Direct Connect(DX)はオンプレミスなどのユーザー環境からAWSへ、専用回線を使ってセキュアに接続するサービスです。インターネット回線ではなく専用回線を敷設して使用するので、安定した高速なネットワークで接続できます。
Direct Connectは、Direct ConnectロケーションのDirect ConnectエンドポイントからAWSネットワークへの接続を保証しています。AWSユーザーはDirect Connectロケーション内にルーターを設置し、オンプレミスから専用線を引き込む必要があります。工事費用と時間をかけてでも、安定した通信と強固なセキュリティ環境を求めるケースに適しています。


○AWS Direct Connectロケーション
Direct Connectロケーションとは、オンプレミスとAWSのデータセンターとを相互に接続するポイントのことです。各リージョンに複数用意されており、ユーザーは接続するロケーションを選択できます。東京リージョン(ap-northeast-1)では、東京や大阪など5つのロケーションが用意されています(2022年1月時点)。

○AWS Direct Connectエンドポイント
Direct Connectエンドポイントとは、Direct Connectサービス提供範囲にあるオンプレミス側の終端のルーターのことです。Direct Connectロケーション内に物理的に設置されており、AWSユーザーが設置したルーターと接続します。

【Direct Connectを使用した接続の種類】
Direct Connectにはパブリック接続とプライベート接続があります。パブリック接続はS3やDynamoDBなどのVPC外にあるAWSリソースへの接続に利用します。プライベート接続はVPCに仮想プライベートゲートウェイ(VGW:Virtual Private Gateway)を配置し、VPC内のAWSリソースへ接続します。


【Direct Connectゲートウェイ】
Direct Connectのプライベート接続はDirect Connectエンドポイントと仮想プライベートゲートウェイを1対1で接続するので、通常は1つのVPCにしか接続できません。Direct Connectエンドポイントから複数のVPCに接続したい場合は「Direct Connectゲートウェイ」を利用します。
Direct ConnectゲートウェイはDirect Connectエンドポイントと仮想プライベートゲートウェイの間に配置されて、世界中の各リージョンにある複数のVPCへ接続できるようになります。なお、VPCは他のAWSアカウントのものであっても接続できます。


Direct Connectゲートウェイで接続した複数のVPCは、Direct Connectエンドポイントとの通信は可能ですが、Direct Connectゲートウェイ経由でVPC同士の通信はできません。VPC同士の通信を行う場合は、VPCピアリングもしくはAWS Transit Gatewayを利用します。なおVPCピアリングとTransit Gatewayの詳細は、分野「VPC」を参照してください。

【Direct Connectの高可用性の実現】
Direct Connectでは、オンプレミスから複数のDirect Connectロケーションへの接続をサポートしています。利用しているロケーションの障害に備えて複数のロケーションへ接続することで、可用性を高められるようになっています。
例えば、オンプレミス環境から東京に存在するロケーションと大阪に存在するロケーションへDirect Connectを接続することで、自然災害時の影響を少なくすることが期待できます。


【Direct Connectのサービス提供タイプ】
Direct Connectには、「専用接続」と「ホスト接続」の2つのサービス提供タイプがあります。

・専用接続
物理的に一つの回線を一つのAWSアカウントが専用で使用します。このタイプの接続は1Gbps、10Gbps、100Gbpsの速度で利用できます。このため、大規模なデータ転送、高帯域幅を要求するアプリケーション、高度なセキュリティ要件を満たす必要がある場合に適しています。
・ホスト接続
AWS Direct Connectパートナーによって管理される物理的なDirect Connect接続を複数のAWSユーザーで共有する形態です。このタイプの接続は通常1Gbps以下の速度で提供されます。(例:50Mbps、100Mbps、300Mbps、500Mbps)低から中程度の帯域幅要件の場合に適しており、コスト効率の良い方法でDirect Connectを利用することができます。

【AWS VPN】
AWS VPN(Virtual Private Network)はオンプレミスなどのユーザー環境からAWSへ、インターネットVPN(※)でセキュアに接続するサービスです。AWS VPNではインターネット回線を利用するので、専用回線を敷設するDirect Connectよりも安価に、かつ短い期間で接続を開始できます。
※インターネットVPN … インターネット回線を使って拠点同士を仮想の専用線で接続し、暗号化通信を行う技術のこと。

【AWS VPNの種類】
AWS VPNには「AWS Client VPN」と「AWS Site-to-Site VPN」の2種類の接続方法があります。

■AWS Client VPN
AWS Client VPNは、パソコンなどの端末とVPCのClient VPNエンドポイントを、インターネットVPNで接続するサービスです。OpenVPNというVPNソフトウェアを利用しており、Windows、macOSだけでなくiOSやAndroidにも対応しています。Client VPNは機器の導入等が不要なので、手軽にセキュアな通信でAWSへアクセスできます。


■AWS Site-to-Site VPN
AWS Site-to-Site VPN(サイト間VPN)は、カスタマーゲートウェイ(オンプレミスのルーター)とVPCの仮想プライベートゲートウェイを、インターネットVPNで接続するサービスです。Site-to-Site VPNはインターネット上に仮想の専用線であるVPNトンネルを張り、IPsecという暗号技術を使って通信を保護します。


○AWS Site-to-Site VPNの高可用性の実現
AWS Site-to-Site VPNで使用する仮想プライベートゲートウェイとVPNトンネルは、機器障害に対する高可用性を保つためにAWS側で冗長化されています。一方、カスタマーゲートウェイはオンプレミス内の機器なので、高可用性を保つにはAWSユーザー側で冗長化する必要があります。


○AWS Site-to-Site VPNのネットワーク監視
VPNトンネルを経由したネットワークトラフィック情報は、Amazon CloudWatchで収集できます。CloudWatchには指定した仮想プライベートゲートウェイのVPNトンネルの状態、送受信したバイト数が記録されます。VPNトンネルの状態をCloudWatchで監視すれば、VPNトンネルに異常が発生した場合にアラームを出すことができます。

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選択肢:勤怠管理アプリケーションからS3バケットへサーバー側の暗号化を利用してデータをアップロードする。社員はS3バケットから勤怠データをダウンロードする

公開日 2024/01/08

解説いわく、タイトルの選択肢だと「すでにDirect Connectを契約している場合は、インターネットよりDirect Connectを利用した方が転送コストを削減できるので、誤りです」となっています。

しかし、問題文では「同社は既存のAWS Direct Connect回線を利用している」と記載されているので、タイトルの選択肢でもDirect Connectを使用すると認識すると思うのですが、問題文おかしくありませんか?

スタッフからの返信

s staff_satomi

2024/01/09 11:24

Pnt643_003様 ご指摘の点を修正いたしました。 ご報告いただきまして、誠にありがとうございます。

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