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AWS ソリューションアーキテクト - アソシエイト(SAA-C03)
問題ID : 35741
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ある会社は、オンプレミス環境にWindowsファイルサーバーを運用している。ファイルサーバーには約5TBのデータが保存されている。同社は、ファイルサーバーのデータをAWS上に移行したいと考えている。現在、移行対象のファイルはActive Directory (AD) を使用したアクセス権限が設定されており、移行後も権限を引き継ぐ必要がある。なお、同社は高速なインターネット回線を保有している。
要件を満たしてデータを移行できる方法は、次のうちどれか。(2つ選択)

正解

オンプレミスにDataSyncエージェントをデプロイする。DataSyncを利用して、FSx for Windows File Serverへデータを転送する

Snowconeデバイスを注文して、ファイルサーバーのデータを保存する。DataSyncを利用して、FSx for Windows File Serverへデータを転送する

解説

本設問では、次の要件に合うデータ移行方法を選択します。
- オンプレミスのWindowsファイルサーバーからAWSストレージへ5TBのデータ移行
- ADで設定されたアクセス権限を移行後も保持
- 高速なインターネット回線を保有

各選択肢を確認していきます。

・オンプレミスにDataSyncエージェントをデプロイする。DataSyncを利用して、FSx for Windows File Serverへデータを転送する
AWS DataSyncはAWSのデータ移行サービスです。オンプレミスのストレージとAWSのストレージサービス間や、AWSのストレージサービス同士で高速かつセキュアなデータ転送を行います。対応しているストレージサービスは、Amazon S3、Amazon EFS、Amazon FSxです。
DataSyncで転送されるデータは、ファイルやフォルダのタイムスタンプ、ディレクトリ構造、アクセス権限などのメタデータが保持されます。
要件を満たすので、正しい選択肢です。

・Snowballデバイスを注文して、ファイルサーバーのデータを保存する。DataSyncを利用して、FSx for Windows File Serverへデータを転送する
SnowballはSnowファミリーの一つです。Snowファミリーは多量のデータをAWSストレージへ転送するサービスです。利用者には大容量のストレージを備えた機器がAWSから貸し出され、移行対象のデータを機器へ取り込んでからAWSへ返送すると、データがAmazon S3へ保存される仕組みです。Snowファミリーにはデータの量や用途ごとに選べる3つのサービスがあります。

Snowballはストレージ機器の輸送をしてデータ転送をするので、データの移行にDataSyncは利用できません。また、機器を輸送してS3バケットに保存したあとに、DataSyncを利用してAmazon FSx for Windows File Serverに転送する方法でも、途中でS3バケットに保存する際にファイルのアクセス権限が喪失してしまいます。よって、誤った選択肢です。

・Snowconeデバイスを注文して、ファイルサーバーのデータを保存する。DataSyncを利用して、FSx for Windows File Serverへデータを転送する
Snowconeは、他のSnowファミリーのように機器をAWSへ返送する方法のほか、DataSyncを利用してデータを移行することも可能です。SnowconeデバイスにはDataSyncエージェントがプリインストールされており、DataSyncを利用してSnowconeデバイスとAWSストレージサービス間でデータ転送ができます。物理的な輸送ではデバイスからS3への移行に限られますが、DataSyncを利用するとデバイスから直接FSx for Windows File Serverへデータを転送できるので、ファイルのアクセス権限を保持したまま移行できます。
要件を満たすので、正しい選択肢です。

・オンプレミスにStorage Gatewayをデプロイする。Storage Gateway ボリュームゲートウェイを利用して、FSx for Windows File Serverへデータを転送する
ボリュームゲートウェイはS3をiSCSI接続のブロックストレージボリュームとして利用できるサービスです。
FSx for Windows File Serverには対応していないので、誤りです。

・S3バケットにマルチパートアップロードを使用してデータを転送する。S3バケットからDataSyncを利用して、FSx for Windows File Serverへデータを転送する
S3バケットにデータを転送する際にファイルのアクセス権限が喪失してします。よって、誤りです。

参考

【AWS Snowファミリー】
オンプレミス(自社環境)からクラウドへシステムなどを移行するにあたり、データの転送は非常に大きな課題です。移行するデータ量が数十TB~PB(※)級の場合はネットワークを通じて転送しても数時間で終わるものではありません。また、転送に使用できるネットワーク帯域や速度、セキュリティ、コストなども考慮する必要があります。場合によっては、物理的にデータが保存されたデバイスを人間が持って移動した方が早く確実なケースもあります。
※ 1TB(テラバイト)= 1024GB、1PB(ペタバイト)= 1024TB

AWS Snowファミリーは多量のデータをAWSストレージへ転送するサービスです。利用者には大容量のストレージを備えた機器がAWSから貸し出され、移行対象のデータを機器へ取り込んでからAWSへ返送すると、データがAmazon S3へ保存される仕組みです。また、貸し出される機器にはCPU(vCPU)やメモリなどを潤沢に搭載したものを選択でき、データ転送だけでなく、IoT端末やエッジコンピューティング(IoT端末自身、または近いエリアのサーバーで処理を行うこと)を実現することもできます。
Snowファミリーにはデータの量や用途ごとに選べる3つのサービスがあります。


本項では3つのSnowファミリーのうち Snowball について解説します。

【AWS Snowball】
Snowballを注文する際は、データ転送(インポート・エクスポート)用途とコンピューティング用途など自分にあったものを選択します。

なお、コンピューティング用途の場合は、複数台で構成するクラスターの注文も可能です。クラスターを構成することにより耐久性や耐障害性を向上させることができます。

さらにどの機器を利用したいかも選択します。


●Snowball Edge Storage Optimized
データ転送用のオプションで、デバイスには内蔵HDD80TBが搭載されています。
オンプレミスからS3へデータをインポートする用途のほかに、S3からエクスポートするケースでも利用します。インポートする際は空のデバイスが届きますので、自分でデータをデバイスへ転送します。エクスポートする際は、対象のデータが格納されたS3バケットを注文時に選択すると、デバイスにデータがロードされた状態で届きます。
いずれも利用完了後にAWSへ返送すると、データ移動など必要な処理が行われたあとにデータが消去されます。
なお、1台あたりのストレージ容量は最大で80TBですので、それ以上の容量を転送したい場合は複数のSnowballデバイスを申請する必要があります。

●Snowball Edge Compute Optimized
Storege Optimizedがデータ移行向けのデバイスであるのに対して、Compute Optimizedはコンピューティング向けのデバイスです。多くのCPU(vCPU)とメモリを搭載した機器が用意されており、更にGPUを備えた機器を注文することもできます。
本オプションはデータの転送を行う前処理として利用します。独立した場所(ネットワーク環境が整っていない、インターネットを利用できないなど)における機械学習や、分析処理などの用途に向いています。
なお、Compute Optimizedに限らず、Snowファミリーのデバイスはインターネットを必要としないオフラインでの操作が可能です。

なお、Snowballではオプションとして事前にEC2 AMIやLambda関数をデバイスに設定しておくことができます。転送するデータに特殊な処理を行いたい場合や分析を行いたいようなケースで活用します。

【クラウドへのデータ移行】
AWSクラウドへデータ移行を行うサービスには、Snowballのほかに以下のようなものがあります。

・AWS Storage Gateway ... オンプレミスからAWSのストレージサービスへのアクセスを高速かつセキュアに行うことができるサービス
・AWS Direct Connect ... AWSとの物理的な専用回線を構築するサービス
・AWS DataSync ... オンプレミスのストレージと、Amazon S3、Elastic File System(EFS)、FSx For Windowsファイルサーバーなどの間でデータを移行するサービス
DataSyncで転送されるデータは、ファイルやフォルダのタイムスタンプ、ディレクトリ構造、アクセス権限などのメタデータが保持されます。
※「AWS Storage Gateway」「AWS Direct Connect」の詳細はそれぞれの分野を参照してください。

Snowballと他のサービスとの違いは、オフラインでデータを移行できるかどうかです。上述したサービスはオンプレミスからオンラインでデータにアクセスするため、移行対象のデータが更新中のものであったり、停止できないシステムのデータを移行したい場合に利用します。
Snowballは、AWSから送付されたハードウェアに一旦データを保存し返送すると、後日AWSによって当該データがS3バケット上へ保存されるため静的なデータの移行に適しています。例えば昨年までの数年分のバックアップデータの一括移行や、過去のログファイルの保存先として利用するのがよいでしょう。移行済みのデータを活用したい場合は、S3上のデータへいつでもアクセスできます。
Snowballへ転送した後に生成されたデータは直接S3に保存することで、初期転送するデータ量を抑えつつスムーズにクラウドストレージに移行できます。

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Snowconeを使う意義

公開日 2024/02/28

設問
「ある会社は、オンプレミス環境にWindowsファイルサーバーを運用している。ファイルサーバーには約5TBのデータが保存されている。同社は、ファイルサーバーのデータをAWS上に移行したいと考えている。現在、移行対象のファイルはActive Directory (AD) を使用したアクセス権限が設定されており、移行後も権限を引き継ぐ必要がある。なお、同社は高速なインターネット回線を保有している。
要件を満たしてデータを移行できる方法は、次のうちどれか。(2つ選択)」

正解のうちの一つ
「Snowconeデバイスを注文して、ファイルサーバーのデータを保存する。DataSyncを利用して、FSx for Windows File Serverへデータを転送する」

↑できるできないの話でいえばできるので正解なのは理解できますが、
実際にこの方法で移行するメリットって何かあるんでしょうか?

もう一つの正解である
「オンプレミスにDataSyncエージェントをデプロイする。DataSyncを利用して、FSx for Windows File Serverへデータを転送する」
よりも手間がかかるだけで、実用性はなさそうなのですが、、、

考えられるのはサーバにDataSyncエージェントをデプロイできない環境(オフライン)の場合かなと思いますが、その認識であってるんでしょうか。

2024/02/29 18:09

DataSyncエージェントはWindowsなどのOSにインストールして利用できるアプリケーションではなく、仮想マシン(VM)アプライアンスなので、エージェントをデプロイできる環境を用意できないというのは珍しくないかもしれません。
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/datasync/latest/userguide/agent-requirements.html


コメント

k kaginote

2024/02/29 20:42

VMアプライアンスなんですね。確かにそれなら用意できないケースは結構ありそうですね。ご回答ありがとうございます。

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