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AWS ソリューションアーキテクト - アソシエイト(SAA-C03)
問題ID : 30654
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Amazon RDS PostgreSQLデータベースを利用している企業では、災害対策の一環としてデータベースのバックアップの保持期間を延長することにした。現在、RDSの自動スナップショットの保持期間を30日に設定しているところを120日に延長したいとき、適切な対応はどれか。2つ選べ。

正解

AWS Backupのバックアッププランを作成し、保持期間を120日に設定する

自動バックアップの取得後、スナップショットをS3バケットへエクスポートする

解説

AWS Backupとは、ストレージやデータベース等のバックアップを一元管理するフルマネージドのサービスです。
EC2インスタンスやEBSボリューム、S3バケット、RDSなどを対象に、柔軟なバックアッププランを作成できます。例えばバックアップの頻度や、一定期間を経過したバックアップはコールドストレージ※へ保存する、別のリージョンへ保存するなどの運用ができます。
※コールドストレージ…あまり利用されないデータを保存するストレージ。容量が大きく、安価で利用できる。

本設問のポイントはRDSのバックアップ(スナップショット)の保持期間を120日に設定したいという点です。
RDSにおける自動バックアップの保持期間は最大で35日です。35日を超えてスナップショットを保持したい場合は以下の方法があります。
- AWS Backupでバックアッププランを作成する
- 手動でスナップショットを取得する
 手動で取得したスナップショットには保持期間の上限がありません。
- 自動バックアップで取得したスナップショットをS3バケットへ手動でコピー(エクスポート)する
 S3バケットへのコピーは、RDSのスナップショット管理画面やAWS CLIなどから行います。

以下はAWS Backupの設定画面です。


以上より正解は
・AWS Backupのバックアッププランを作成し、保持期間を120日に設定する
・自動バックアップの取得後、スナップショットをS3バケットへエクスポートする
です。

その他の選択肢については以下の通りです。

・RDSの自動バックアップの保持期間を0日に設定し無制限にする。120日を超えたスナップショットを削除するLambda関数を定期的に実行する
自動バックアップの保持期間を0日にすると、自動バックアップ機能が無効になります。したがって、誤りです。

・AWS CLIを利用し、バックアップの保持期間を120日に延長するコマンドを実行する
RDSのバックアップ保持期間は最大で35日です。35日を超えて設定することはできませんので、誤りです。

・自動バックアップを、増分でなくフルバックアップを取得するよう設定する
RDSの自動バックアップは、初回がフルバックアップで2回目以降のスナップショットは増分(更新した分だけ)スナップショットです。この設定は変更することができません。また、保存期間とも関連がありませんので誤りです。

参考

【AWSのデータベースサービス】
AWSには複数のデータベースサービスがあり、それぞれ異なる特徴があります。


ユーザーは各サービスの特性を理解したうえで最適なものを選択する必要があります。
本項ではAmazon RDSについて解説します。

【Amazon RDS(Relational Database Service)】
RDSは、フルマネージド型のリレーショナルデータベース(関係データベース)サービスです。SQLを用いたデータベースの操作が可能です。
フルマネージド型とは、データベースのスケーリング(拡張、縮小)、ストレージの拡張、高可用性、バックアップ、OS/データベースソフトウェアへのパッチ、サーバーの電源やメンテナンスなどが管理された状態であることをいいます。AWSにおけるフルマネージド型とは、前述の管理がAWSによって行われることを意味します。
RDSを使うことでデータベース管理者はこれらの煩雑な作業から解放され、データベースを効率的に利用することに注力することができます。
ただし、RDSはデータベースが稼働するシステム全体をAWSが管理してくれる代わりに、利用できるデータベースエンジンやバージョンが限定されています。また、データベースエンジンごとに使用が制限されている機能もありますので、利用する際は注意が必要です。

●RDSの特徴
RDSには以下の特徴があります:
 (1) 構築・運用負荷の軽減
 (2) 高可用性
 (3) パフォーマンス
 (4) セキュリティ
 (5) ACID特性

(1) 構築・運用負荷の軽減
以下はRDSの構築画面です(一部抜粋)。

データベースのエンジンのほか、インスタンスクラス、ディスクサイズなどを選択するだけで利用可能になります。
運用時も、データベースのレプリケーション(複製)やバックアップ、スナップショットなど運用に関する操作も上記と同様にGUIによる画面操作が可能です。
また、運用中にデータベースの容量が枯渇した場合も、Auto Scaling(自動スケーリング)機能を有効にすることで自動的に拡張されます。ただし増えたストレージ容量は減らす(ストレージを縮小する)ことはできませんので注意してください。

・データベースの移行
現在利用しているデータベースをRDSへ移行する際も、できるだけ手間が少ないように考慮されています。
例えばMySQLを利用している場合、自社環境に保存されたバックアップデータを利用して移行が行える等の機能が提供されています。
また、スナップショットを用いてデータベースの復元や、データベースの移行(異なるDBエンジンへ移行する)を行う機能も提供されています。



以下はRDS for MySQLのスナップショットからAmazon Auroraへ移行する場合の画面例です。


・スナップショットの共有
RDSでは、データベースを所有しているAWSアカウントとは別のAWSアカウントと、データベースのスナップショットを共有できます。
例えば、AWSアカウントを別に持つ部署でデータベースのコピーが必要だったり、新たに作成するAWSアカウントへデータベースを移行したいような場合は、スナップショットを共有し、共有したAWSアカウントでスナップショットからデータベースを復元するといった運用が可能です。
なお、スナップショットが暗号化されている場合は(「(4) セキュリティ」参照)、KMSキーのキーポリシーの設定で、共有先のアカウントへKMS暗号化キーの使用を許可する必要があります。詳細は分野「KMS/CloudHSM」の「鍵の使用と鍵の共有」を参照してください。

・データベースのパラメータ変更
タイムゾーンや最大接続数、監査ログの有効化など、データベースの設定を変更したい場合、RDSでは「DBパラメータグループ(DBクラスターパラメータグループ)」または「オプショングループ」で定義します。
DBパラメータグループ、オプショングループはDBエンジンごとに作成するパラメータまたはオプションの定義グループで、作成後は複数のデータベース(またはデータベースクラスター)へアタッチできます。

(2) 高可用性
AZ(Availability Zone)を超えたデプロイメント(マルチAZ)で、自動レプリケーション+フェイルオーバーを実現することができます。

マルチAZでは、プライマリDBインスタンスとスタンバイDBインスタンスを異なるAZに配置することによって可用性を向上させることができます(リージョンは同一)。
バックアップ側のデータベースはスタンバイ状態で常に同期されているため、フェイルオーバーが発生しても情報の取りこぼしはありません。
またフェイルオーバーは自動的に行われ、運用は継続して行えます。データベースを利用しているアプリケーション側からはスタンバイ側へアクセスを切り替える必要もありません。

マルチAZはデータベースのメンテナンス(OSの更新やパッチの適用など)の時にも役立ちます。
RDSはフルマネージド型のサービスのため、メンテナンスはAWSが行います。メンテナンスの実施時には、まれにデータベースインスタンスの再起動を伴う更新が行われることがあります。データベースインスタンスが再起動している間はサービスが停止します。このようなメンテナンスに伴う運用停止を回避するにはマルチAZ構成を組むことが推奨されています。マルチAZ構成を取ることで、AWSが実行するメンテナンスは以下のように段階的に実行され運用停止なしにメンテナンスを完了することができます。
 1. スタンバイDBインスタンスに対するメンテナンス
 2. スタンバイDBインスタンスをプライマリDBインスタンスへ昇格
 3. 新スタンバイDBインスタンス(旧プライマリDBインスタンス)に対するメンテナンス

マルチAZは、DBインスタンスの作成時に設定することができます。また、既にシングルAZで稼働中のDBインスタンスに対しても、最小限のダウンタイムのみで設定変更ができます。

(3) パフォーマンス
RR(リードレプリカ)という、参照専用のデータベースとして動作するレプリカ(複製)を作ることができます。データベースの参照時にかかる負荷が高い場合、RRを最大5台(Amazon Auroraは15台)増設することによってスケールアウト(処理台数の追加)することができます。

マルチAZ((2)参照)を利用してRRを複数のAZに分散したり、異なるリージョンに配置することもできます。

RRは、データベースのインスタンスクラス(EC2における"インスタンスタイプ"と同等)を変更することにより、スケールアップ(拡張)、スケールダウン(縮小)も柔軟に行うことができます。
利用者の多いタイミングでデータベースを一時的に拡張し、利用者が少ないタイミングでは縮小するように運用することにより、リソース(CPU、メモリ、ディスクI/Oやネットワークなど)を無用に消費せずに済みます。
※なお、本項で言及しているスケールアップ/ダウンは、データベースそのもののサイズではなく、データベースインスタンスであることに注意してください。データベースのサイズは拡張は可能ですが、縮小することはできません。

[RDSのストレージタイプ]
RDSのストレージは、基本的には汎用SSDとプロビジョンド(予約済み)IOPSから選択します。
IOPSとはInput Output per Second、つまり1秒間にどれだけI/O(Input/Output:読み取り/書き込み)が行えるかを意味するデータベースの性能指標です。
プロビジョンドIOPSを選択すると、予約したI/O性能をAWSが保証してストレージを提供します。予約したI/O性能が保証されるので、汎用SSDではAWS側の混雑で性能がなかなか出なかったりアクセス集中が日に何度も起きたりして自動スケーリングで対応しきれない場合などでも、想定した性能が保たれるというメリットがあります。
なお、両者の性能値は以下のように示されています:
・汎用SSD: 100~10,000 IOPS
・プロビジョンドIOPS:1,000~30,000 IOPS

(4) セキュリティ
RDSは、Amazon VPC(Virtual Private Cloud:ユーザー用の仮想プライベートネットワーク空間)に対応しています。DBインスタンス作成時にインターネットからの接続をONにしない限りは、VPC内でのみ利用可能なサービスです。
EC2インスタンスからのアクセスを行うパターンでは、RDSのデータベースインスタンス用のセキュリティグループを作成し、EC2インスタンスからのアクセスを許可するルールを作成して接続します。


また、データベースインスタンスは、AWS Key Management Service(KMS)と連携して暗号化を行うこともできます。
※KMSの詳細は、分野「KMS/CloudHSM」を参照してください。
データベースインスタンスの暗号化を行うと、バックアップやスナップショット、ログ、RR(リードレプリカ:参照専用のデータベースレプリカ)へも暗号化が行われます。
暗号化を行う場合はデータベースの作成時に指定します。


データベースの作成後に暗号化を有効にすることはできません。
暗号化されていないデータベースインスタンスを暗号化したい場合は、対象のインスタンスのスナップショットを作成し、スナップショットをコピーする際に暗号化を有効にします。暗号化されたスナップショットを基にデータベースインスタンスを復元すると、暗号化されたデータベースインスタンスが新規に構築されます。

(5) ACID特性
リレーショナルデータベースにはACID特性というものがあります。ACIDとは、原子性(Atomicity)、一貫性(Consistency)、独立性(Isolation)、耐久性(Durability)を意味する言葉で、更新処理中に中途半端なデータが書き込まれないことや、並行処理がそれぞれ独立して動作する(互いに干渉しない)ことなど、処理の信頼性を保証する性質をいいます。RDSもリレーショナルデータベースサービスですので、ACID特性を持っています。

[データベースの削除保護]
Amazon RDS データベースやAmazon Auroraデータベースクラスタに対して「削除保護」機能を有効にすると、設定されたデータベースは削除ができなくなります。これにより、ユーザの操作ミスによる意図しない削除操作からデータベースを保護することができます。

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[信頼性] 軽微な誤りの報告

公開日 2022/09/12

問題文にて、

[誤] Amazon RDS Postgre SQLデータベース
[正] Amazon RDS PostgreSQLデータベース

スタッフからの返信

s staff_satomi

2022/09/13 12:05

tnishita2様 ご指摘の点を修正いたしました。 ご報告下さり、誠にありがとうございます。

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