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AWS ソリューションアーキテクト - アソシエイト(SAA-C03)
問題ID : 30265
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Amazon Auroraを利用して構築したデータベースがある。
負荷分散のために、レプリカインスタンスを複数作成し読み取りを行うクエリはレプリカインスタンスへ向けて行うようにしたい。
レプリカインスタンスを使用することにより、どのエンドポイントの負荷が軽減されると予想できるか。

正解

クラスターエンドポイント

解説

Auroraにおいて、データベースインスタンスへの接続は「エンドポイント(接続先)」によって制御されます。
エンドポイントには以下のようなものがあります。


クラスターエンドポイントは更新も参照も行うことができますが、参照クエリが多いと更新処理を圧迫してしまいます。用途ごとにエンドポイントを使い分けることで負荷を分散し、全体的なパフォーマンス改善を図ることができます。

設問では、レプリカインスタンスを作成し読み取りを行うクエリをレプリカインスタンスへ向けて行う、という題意から、クラスターエンドポイントから読み取りエンドポイントへ接続を切り替えることで負荷を軽減させる、ということが読み取れます。

以上より、負荷が軽減されると予想されるものは
・クラスターエンドポイント
です。

その他の選択肢については上述の説明を参照してください。
なお、「書き込みエンドポイント」という名前のエンドポイントはありません。

参考

【Amazon Aurora】
Amazon Auroraは、Amazonが設計・開発したMySQL/PostgreSQL互換のデータベースエンジンです。フルマネージド型サービスであるAmazon RDS(Relational Database Service)で利用可能なデータベースエンジンですので、データベースのスケーリング(拡張、縮小)、高可用性、バックアップ、OS/データベースソフトウェアへのパッチ、サーバーの電源やメンテナンスなどはRDS(AWS)によって管理されます。

RDSの他のデータベースエンジンと比べた時のAuroraの特徴は以下の通りです:
・データベースインスタンスとストレージが分離したアーキテクチャ
・複数のデータコピーと自動修復機能などによるストレージの高い耐障害性
・レプリカインスタンスの自動フェイルオーバーによる高可用性
・データベースのクローンを高速作成

●データベースインスタンスとストレージが分離したアーキテクチャ
以下はAuroraを利用した際の構成例です。

Auroraはデータベースインスタンスとストレージが分離しており、柔軟な構成が可能です。例では2つのデータベースインスタンスが存在しますが、手動でのデータベース管理が不要なサーバーレス構成や、最大15台のレプリカインスタンス(参照専用のインスタンス)を構成することもできます。

●複数のデータコピーと自動修復機能などによるストレージの高い耐障害性
ストレージは、デフォルトで3つのAZに2つずつ(計6つ)のデータコピーが作成されます。これらのストレージは「クラスタボリューム」というクラスタ構成で管理されます。
Auroraのクラスタボリューム内のストレージは互いに監視しあっており、データの破損が発生しても自動で検出、修復します。

●レプリカインスタンスの自動フェイルオーバーによる高可用性
データベースインスタンスは、書き込みを行うプライマリインスタンスを1台、参照専用のレプリカインスタンス(リードレプリカ)を最大で15台作成することができます。
レプリカインスタンスはデフォルトでプライマリインスタンスと異なるAZに作成され、プライマリインスタンスに障害が発生した場合は自動でフェイルオーバー(切り替え)とプライマリインスタンスへの昇格が行われます。

RDSのその他のデータベースエンジンはスタンバイ用のインスタンスとリードレプリカは別々のインスタンスですが、Auroraではリードレプリカがスタンバイインスタンスを兼ねています。

●データベースのクローンを高速作成
Auroraにはデータベースのクローン(複製)を作成する機能があります。クローンは「Copy-on-Write」という技術で作成されます。Copy-on-Writeは、データの複製時にコピーしたと見せかけて、実際は複製元のデータを参照します。
複製元または複製先のデータの更新時に対象のデータをコピーして、それ以降はコピーしたデータにアクセスします。更新したデータ以外は、複製元のデータを参照するのでストレージ容量の節約になります。また、クローンの作成時にデータのコピーが発生しないので、スナップショットの取得/復元やデータベースのエクスポート/インポートするよりも複製を高速に作成できます。

【Auroraの自動スケーリング】
Auroraには、ストレージ容量、レプリカインスタンス数、インスタンスタイプを負荷に応じて自動的にスケーリングする機能があります。

●ストレージ容量のスケーリング
ストレージ容量は、ユーザーが指定した容量(最大128TB)まで自動的に拡張されます。データの増加に伴って拡張されていくため、必要な容量を計算して事前にプロビジョニング(予約)する、といった手間は必要ありません。またデータが削除されると、その分の割り当てられていたストレージ領域が自動的に縮小されるので、コスト削減につながります。

●Aurora Auto Scalingによるレプリカインスタンス数のスケーリング
Auroraでは、データベースへの負荷に応じて動的にレプリカインスタンスを増減するAuto Scaling機能があります。平均CPUまたは平均接続数に任意の値を設定し(例:「CPU使用率 50%」など)、設定した値が維持されるようにレプリカインスタンスが調整されます。
RDSのその他のデータベースエンジンにもAuto Scaling機能はありますが、RDSのAuto Scalingはデータベース(ストレージ)容量の拡張であり、レプリカインスタンス(リードレプリカ)の増減を行う機能ではありませんので注意してください。

●Aurora Serverlessによるインスタンスタイプのスケーリング
Aurora ServerlessはDBインスタンスの負荷状況に応じて、自動的にDBインスタンスの起動、停止、スケールアップ/スケールダウンを実施する機能です。
通常のAuroraではDBインスタンス作成時にインスタンスタイプ(db.t3.mediumなど)を指定しますが、Aurora Serverlessではデータベースの負荷状況に応じた性能で稼働します。また、データベースの利用がないときはDBインスタンスを停止し、需要があれば自動的に起動します。データベースの利用率に変動のあるシステムや、利用量の予測が難しいシステムに使用すると、コスト削減の効果が期待できます。

Aurora Auto Scalingはスケールアウト/スケールイン(リソース数の増減)であるのに対し、Aurora Serverlessはスケールアップ/スケールダウン(性能の増減)であるという違いがあります。


【Auroraのエンドポイント】
Auroraでは、インスタンスへアクセスするためのエンドポイント(接続先)を用途ごとに分けています。


クラスターエンドポイントは更新も参照も行うことができますが、参照クエリが多いと更新処理を圧迫してしまいます。用途ごとにエンドポイントを使い分けることで負荷を分散し、全体的なパフォーマンス改善を図ることができます。

なお、レプリカインスタンスが複数台あった場合、読み取りエンドポイントへのリクエストは各インスタンスへ均等に割り振られます。

また、フェイルオーバーが発生してもアプリケーションはエンドポイントを切り替える必要はありません。レプリカインスタンスからプライマリインスタンスへの昇格が自動的に行われるように、クラスターエンドポイントの接続先インスタンスも自動で切り替えが行われ、運用を継続できます。


【Amazon Aurora Global Database(Aurora グローバルデータベース)】
Auroraグローバルデータベースは、Auroraデータベースを複数のリージョンにまたがって運用できるサービスです。例えば、東京リージョンで稼働しているデータベースを大阪リージョンにも配置できるということです。Auroraグローバルデータベースを使用しても、ユーザーは複数のリージョンのデータベースを管理する必要はありません。データはプライマリとして稼働しているメインのリージョンからセカンダリリージョンへレプリケートされます。

グローバルデータベースの大きな利点は以下の2点です。
・データベースアクセスを世界中から高速に行える(レイテンシの向上)
・リージョン単位で発生した大規模な障害の災害対策(ディザスタリカバリ:DR)になる

異なるリージョンからデータを読み取りたい場合はリードレプリカを異なるリージョンに配置することもできますが、Auroraグローバルデータベースは書き込みも異なるリージョンから行えます。
また、Auroraグローバルデータベースは災害復旧時に非常に高い効果を発揮します。プライマリリージョンのデータベースが停止した場合、セカンダリリージョンのデータベースを自動で昇格(フェイルオーバー)させ運用を継続できます。Auroraグローバルデータベースでは、一般的にディザスタリカバリの指標として使用されるRPO(目標復旧時点)を 1秒、RTO(目標復旧時間)を1分未満と定めています。

※RPO(Recovery Point Objective:目標復旧時点) ... どの時点までのデータを復旧させるか。データベースの更新頻度が高い場合は、0秒(停止直前)のデータ復旧が求められる。
※RTO(Recovery Time Objective:目標復旧時間) ... どのくらいの時間で(いつまでに)復旧させるか。サービスやシステムを停止していられる時間。

【Auroraのインスタンス購入オプション】
Auroraのインスタンス購入オプションは、以下の三つがあります。
・オンデマンドインスタンス
利用した分だけ料金を支払う方式です。事前のコミットメントや長期契約は不要で、使用した計算容量に対して秒単位で料金がかかります。柔軟性が高く、短期間の使用や不定期なワークロードに適しています。
・リザーブドインスタンス
一定期間(1年または3年)の事前契約を伴う割引料金のオプションです。期間を事前に定めることで、オンデマンド料金よりも大幅な割引が適用されます。長期間にわたって一定のワークロードがある場合にコスト効率が良いです。
・サーバーレス(Aurora Serverlessを選択した場合)
使用量に基づいて自動的にスケーリングするオプションです。データベースの使用量が増減する場合や一時的な使用に適しています。このオプションでは、実際に使用した計算容量とストレージの使用量に応じて料金が発生します。

これらのオプションを選ぶ際には、アプリケーションの要件、使用パターン、コストの最適化のニーズに応じて適切なものを選ぶことが重要です。

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解答の誤り

公開日 2022/11/30

解説を読んでもなぜクラスターエンドポイントが答えになるのかわかりません。読み取りエンドポイントが答えとならないでしょうか?

2022/12/01 11:26

設問の「負荷が軽減されると予想されるのは、どのエンドポイント(接続先)に対するものか。」というのは、
「どのエンドポイントを使用したら負荷が軽減されるか?」という質問ではなく、
「レプリカインスタンスを使用した結果、どのエンドポイントの負荷が軽減されるか?」という質問なので、
答えはクラスターエンドポイントになります。


コメント

n nanasi2424

2022/12/01 12:49

当初、質問者の方と同じことを私も感じていました。 (前提として「もともとレプリカインスタンスがあり、かつ、リード処理は読み取りエンドポイントに対してアクセスするよう既に設定されている環境」と思い込んだので) 新たに増やしたレプリカインスタンスに対してもリード処理が分散されるようになり、読み取りエンドポイントの負荷が減るのでは?と。 ただ考えてみたら、レプリカインスタンス毎の負荷は減りますが「読み取りエンドポイント(リード処理の総量)」は変化はなく、負荷軽減とは言えないかなと。 ---- この設問の前提はおそらくですが、 リード処理のアクセス先がクラスタエンドポイントに設定されている環境なのかと思います。 アクセス先をクラスタエンドポイントから読み取りエンドポイントに変更することで、クラスタエンドへのリード処理アクセスがなくなる=「クラスタエンドポイントの負荷が減る」と言えそうです。

w wata1114

2022/12/01 22:39

birdpixy様 nanasi2424様 ご説明ありがとうございました。改めて解説を読んで理解できました。

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